大同メタルのDNA

単純な形に見えるすべり軸受ですが、
そこには、果てしなく深遠なる
トライボロジー(摩擦・摩耗・潤滑)の
世界が拡がっています。
このページでは、大同メタル工業が誇る
トライボロジーテクノロジーの
一端をご紹介します。

大同メタル3つのコアテクノロジー

バイメタル技術

鋼板を土台に、さまざまな特性の軸受層を接合した複合材「バイメタル」。大同メタル工業は、焼結・圧接・鋳造・含浸といった高次元な接合技術を原子レベルで確立。銅合金系、アルミ合金系、ポリマー系など、あらゆる特性のバイメタルを製造しています。高品質な軸受は、まず、素材となるバイメタルの開発から。この姿勢が、大同メタル工業に厚い信頼が寄せられる最大の理由です。

精密加工技術

バイメタルに造形の技術が加わってはじめて製品となります。バイメタルを軸受の大きさに精密に切り分けるためのプレス切断技術、半割り・円筒状に曲げるプレス加工、最終過程での最適な肉厚仕上げなど、すべての工程で高精度な加工技術が必要とされます。それらの加工を可能にするために、社内で独自のプレス金型・軸受加工機を設計・製作。ミクロ単位の技術の裏付けがあるからこそ、つねに安定した高品質の軸受が供給できるのです。

オーバレイ付軸受の断面組織 1.オーバーレイ 2.銅合金

表面処理技術

なめらかな動きは、摩擦が起きる表面の状態などで決まります。そのため、軸受層の表面をカバーするオーバレイが重要な役割を担います。大同メタル工業は、オーバレイ成分の開発や製法の改善につねに取り組み、高精度で均一な被膜をつくる「表面処理技術」を確立しています。さらに新しい表面処理技術の開発も積極的に行なっています。

INTERVIEW 最高レベルの技術と最先端の知識で、世界ナンバーワンをめざす。片桐武司

材料の開発からはじまるものづくり。

一般的な機械部品メーカーと大同メタル工業との大きな違いのひとつは、材料開発から行うという点です。
大同メタル工業が扱う「すべり軸受」は、軸をしっかり支える「強さ」と、軸を滑らかに回転させる「やさしさ」という、相反する機能を求められる製品。
コアテクノロジーであるバイメタル技術や表面処理技術はもちろん、さまざまな製法・技術を用いて、それら相反する要求を満たせる軸受合金を開発しています。たとえば、耐摩耗性を向上するためSi(ケイ素)などの硬質粒子を添加したり、軸を柔らかく受けとめるために軟質金属であるSn(スズ)を添加するなどもそのひとつ。
金属材料や有機材料の技術を駆使しながら、さまざま試行錯誤を繰り返し、たくさんの軸受材料を生み出し続けています。大同メタル工業は、こうした軸受材料で数多くの特許を保有。それらは、大同メタル工業の今後の成長を支える大きな財産となっています。

精密加工技術で微細な製品形状をつくり出す。

半割軸受は、肉眼では厚みが同じように見えますが、実際には微妙に厚みは違います。そもそも半割軸受は、周囲を囲う「ハウジング」と呼ばれる部分に、組み込まれるのですが、このとき、厚みが一定であると、ハウジングとの関係で端の方が少し膨らんでしまうという問題があります。それを回避するために、端の方だけ、ほんの少し薄くしてあるんです。これは「リリーフ」と呼ばれる技術で、半割軸受では一般的な技術です。このリリーフによって、端部は10μm~60μmくらい薄くなっているのです。日本人女性の髪の毛の平均太さは80μm程度だそうですので、かなり精密な加工技術が必要になることがわかって頂けると思います。
また、「クラウニング」という技術では、軸受幅方向の端部において、緩やかな傾斜を付けます。この傾斜が無いと、回転する軸が荷重によって撓むことで軸受幅端部において接触が生ずる場合があります。つまり、クラウニングというのは、あらかじめ逃がしを作っておくという意味です。このクラウニングの寸法としては、端部において10μm以下の深さとなる傾斜です。ここでも、大同メタル工業の精密加工技術が活きています。

目に見えないものが見えるおもしろさ。

私のグループが担当しているのはCAE(computer aided engineering)技術を用いた軸受性能解析。
たとえば自動車エンジン用軸受の場合、取り付けられた軸受がエンジンの中でどういう状況にさらされているかを実際目で見ることはできません。さらに、実際に稼働しているエンジン内の温度を測定することも非常に困難です。
そのため、コンピュータを用いて理論的に計算してシミュレーションし、軸受にかかる圧力や、流れる油の温度や油膜の圧力などを解析。それらをもとに、軸受の寿命などを予測評価するのです。現在も、より現実に近い状況をシミュレーションできるよう、さまざまな要素を考慮して精度をさらに高めていく研究を行っています。
目に見えないものを見えるようにしていくという解析作業は、とてもおもしろく、奥が深いと感じています。

解析技術をどんどん進化させていく。

軸受の性能を解析する際、以前は、「剛体解析」と呼ばれる方法が主流で、「軸受は変形しない」「粘度は一定である」「軸受内面は真円である」と仮定した上での解析で、これは重厚長大の設計思想では通用する考え方でした。しかし、近年では、地球環境に配慮して、エンジンはどんどん軽量化が進んでいます。
それにともない、軸受が組み込まれるハウジングの肉厚も薄くなり、それによって軸受は大きな変形を受ける過酷な環境に置かれるようになってきました。
そうなってくると、従来の「剛体解析」では対応ができません。そこで登場したのが、「EHL解析」と呼ばれる手法です。これは「軸受は変形しない」という仮定を取り除き、軸受の変形を考慮した解析手法です。このEHL解析では、軸受がさらされる、実際に近い環境をシミュレートできるため、より詳細で最適な設計が可能になってきています。
EHL解析が認知されたため、エンジンメーカーからの解析の要求が急速に高まり、多くの依頼をいただくようになりました。大同メタル工業では、このEHL解析の技術をさらに進歩させ、各社のエンジンと、当社の単体試験機との相関性や誤差を、より詳細に分析することができるよう取り組んでいます。

軸受の性能評価が、エンジン性能のものさしにもなる?

大同メタル工業では、ほとんどのエンジンメーカーから、軸受の性能評価の依頼を受けており、その解析結果をデータベースに蓄積しています。この性能評価は、「軸受の性能」を評価するものなのですが、たとえば、エンジンAと、エンジンBという2つのエンジンに対し、同じ軸受1を取りつけて解析をすると、それは軸受1の性能を測っているわけなのですが、裏返すと、「エンジンの性能」を評価しているということにもなります。
そうしたことから、お客さまのエンジンが、他社のエンジンと比較して、どのようなレベルにあり、どのような特性を持っているかを知りたいという、お客さまの要望にお応えすることができるのです。
こうしたことができるのも、独立系である大同メタル工業の大きな強みのひとつ。大同メタル工業のこうした解析技術は、非常に高い評価を得ており、各エンジンメーカーに喜んでいただいています。

トライボロジー研究は、地球環境への大きな貢献につながる。

トライボロジー研究は、摩擦・摩耗・潤滑の研究ですが、それは言い換えると、エネルギー損失の抑制に関する研究です。
たとえば、自動車のエンジン内で、ピストンとクランク軸をつなぐコンロッドに使われるすべり軸受があります。このすべり軸受は、ピストンにかかる荷重を受けとめてクランク軸の回転を支える役割を持つのですが、この際、いかに摩擦を軽減するかによって、車の燃費に大きな影響を与えます。こうしたことを考えると、すべり軸受は自動車のエンジン性能に大きな影響を与えていると言っても過言ではないと思います。
ここでは代表例としてエンジンを挙げましたが、すべり軸受は、回転するなど、動く機械であれば、そのほとんどに必要とされる重要な製品です。
地球環境への貢献が叫ばれている現在の状況からすれば、今後もエンジンや高速回転機械には、より一層の低燃費化が求められることは間違いありません。エネルギー損失を抑制し、地球環境への負荷低減を推進するために、可動部の低摩擦化を実現するトライボロジー研究の重要性は、今度ますます高まっていくでしょう。